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「染司よしおか」五代目当主・吉岡幸雄氏が選んだ今月の色の過去の記事より、人気のエッセイを紹介しています。最新記事はこちらでどうぞ。

黄色の季節

『王朝のかさね色辞典』より植物染め朽葉の色
王朝のかさね色辞典
「朽葉の色」より

秋は黄色の季節である。緑鮮やかであった木の葉も、わずかに黄味を帯びてくる。田園は苗がのびて、なかには穂がついて、黄色く見えるところもある。

「黄」という文字は「光」と「田」からなるという。夏の太陽をうけて成長した、まさしく米の実りの彩りを表している。「黄金」と表される。日本人の食を支えてきた米。昔も今も米はまさしく「金」に価するものであった。

秋が深まり、木の葉はより黄味をおびてくる。「黄朽葉」という色名もある。これはまさしく銀杏の葉を表しているのであろう。朽ちていくなかで麗しい黄色になって、やがて秋風に舞う。黄朽葉、朽葉色、赤朽葉と日本人は秋の葉移ろいでも、こうした色名を付けてきた。

秋にはもう一つ、麗しい黄色を表すものがある。菊の黄色である。黄菊は王朝の時よりとくに秀れたものとして崇められてきた。香る菊を愛でる重陽の節句ももうすぐである。

染織史家・吉岡幸雄

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