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吉岡幸雄が選んだ今月の色
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「染司よしおか」五代目当主、吉岡幸雄氏に毎月、日本の色にまつわる様々なお話をしていただくコーナーです。紫紅社特製カレンダー付き壁紙とともに、毎月月末に更新の予定です。

3月 深紅(ふかきくれない)

「染司よしおか」吉岡幸雄

椿は秋の暮れから早春にかけての寒いときに咲いてはなやぎをもたらしてくれる。

冬色のさびしい林のなかで、濃い緑の葉の上に少し青味をおびた濃紅色の花が凛と咲いている姿を見ると、たくましさを感じる。道を歩いていて、垣根の向こうに白い椿の花を見ると、清楚な美しさに惹かれることもある。

椿の花は、古より聖なる木として崇められてきた。

東大寺のお水取り(修二会)は、2月20日の試別火にはじまり3月14日の本行の満行まで、厳寒のなかで十一面観音に祈る厳粛な行事であるが、そのとき、椿をかたどった造り花がささげられる。

私の工房では、毎年その椿の造り花の紅花染め紙を奉納している。その椿の花は、次のようにして染める。 まず、夏に摘んで乾燥させておいた紅花の花びらを水に浸け、何回も揉み洗いして黄色の色素を流し去ったあと、紅赤色の色素を取り出すために、藁灰から取った灰汁で花びらをよく揉む。

こうして得た赤色の液に、烏梅という梅を燻蒸したものの水溶液を入れると、赤い色素が沈殿して、濃い泥状の艶紅ができる。この艶紅を何度も和紙に塗り重ねていくのである。そうすると、満開に咲いている椿の花の色のように染まっていく。

奉納した深紅色、白、そして「におい」と呼ばれる花芯となる支子染の黄色の和紙は、2月23日、試別火の行なわれている戒壇院の別火坊で、その年の練行衆によって椿の花にしつらえられ、椿の生樹につけられて、3月1日の本行の日から二月堂の十一面観音に捧げられるのである。

3月カレンダー付き壁紙

吉岡幸雄著『源氏物語の色辞典』若菜上より、染司よしおか植物染めによる「紅梅の袿と桜の細長」を壁紙にしました。(袿は紅花染)

カレンダー付き壁紙サンプル画像

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源氏物語の色辞典』中身紹介動画

吉岡幸雄著『源氏物語の色辞典

『源氏物語』を象徴する色「紫」、平安王朝の多彩な「襲 かさねの色目」を『源氏物語』五十四帖に沿って再現。王朝人たちは季節にあった多彩な衣裳をまとい華麗な色の競演をしていた。

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