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日本の色辞典
吉岡 幸雄 著

日本の色辞典「柳色」より

柳の枝の細く垂れ下がるさまはまた、美しく染められた糸にもたとえられて、柳糸といわれる。

『源氏物語』のなかで、光源氏のもとに朱雀 (すざく)上皇の末娘、女三の宮が降嫁し、それまで源氏の寵愛を一身に受けていた紫の上が強い衝撃を受ける帖が「若菜」である。「若菜下」巻には、六条の院で催される有名な女楽の場面がある。光源氏は、ゆかりの女性たちを次々に垣間見る。そのおりの女三の宮を「ただいとあてやかにをかしく、二月の中の十日ばかりの青柳の、わづかにしだりはじめたらむここちして、鶯の羽風にも乱れぬべく、あえかに見えたまふ」と、気品あふれ、枝垂れ始めた青柳のようにか弱げだと評している。

また、季節の植物の美しい彩りを少し先取りしながら衣裳に取り入れることは、王朝の女人たちの才で、明石の上の衣裳については「柳の織物の細長 (ほそなが)萌黄 (もえぎ)にやあらむ、小袿着 (こうちき)て、 (うすもの)の裳のはかなげなる引きかけて」とある。「柳」は、「表白、裏薄青」と二枚の衣を重ねて、柳の葉をあらわす (かさね)。表の白い透明な生絹 (すずし)で、裏の青を透過して見ることで葉の裏をあらわす。柳はいつも風に揺れていて、葉の表裏が重なるように見えるからであろうか。

続きは、『日本の色辞典』(吉岡幸雄著) にてどうぞ。

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